HDE Advent Calendar 2014

株式会社HDEの社員がクリスマスまで毎日1記事ずつ更新

20日目:雪を嫌いになる前に知ってほしいこと

HDE Advent Calendar 2014 20日目を担当するクラウドプロダクト開発部の小玉です。

今週は爆弾低気圧をはるかにしのぐ超爆弾低気圧が列島に大雪を降らせ、各地で混乱をもたらしました。振り返れば 2014年は雪の話題で持ちきりで、2月には都心にも20cmをこす積雪があったのは記憶に新しいところです。そしてディズニー映画「アナと雪の女王」は猛暑をも吹き飛ばす空前の大ヒットでした。

被害や混乱という言葉が示すように、雪はなにかと厄介者として話題にのぼることが多いように思います。「アナと雪の女王」においても雪や氷そのものについてはネガティブなイメージだったでしょうか。しかし季節はクリスマス。ホワイトクリスマスのイメージは「雪」という言葉そのものがもつ意味に近いようです。今日は気象予報士の資格をもつ私から、専門知識と自らの経験を交えながら、「雪辱」「汚名を雪ぐ」とはならないまでも、雪に関するポジティブなイメージをほんの少しだけ紹介したいと思います。

雪との関わり

まずは自己紹介を兼ねて。私は東北の豪雪地帯で生まれ育ったこともあり、東京に住んでいる人の中では雪に親しみを感じている方だと思います。趣味の登山では、いまでこそ子育てのために中断してはいますが、山スキーや雪山登山で雪とたわむれる機会があります。山の冬は長く11月下旬から5月いっぱい、人によっては7月まで、実に半年以上雪を楽しむことができます。

娯楽としての雪

雪の魅力といって最初に思い浮かべるのが、なんといってもパウダースノー、粉雪です。スキーやスノーボードを背中に担いで山を登ってフカフカの新雪を一気に滑り降りる。その名もバックカントリー。適度な雪の抵抗を板に受け浮力を感じながら、滑るというよりむしろ飛ぶ、舞うといった表現が近いこの浮遊感はまさに中毒もの。人を惑わす白い粉と呼ばれる所以でもあります。かたやまだ誰も踏み入れていないフロンティアを探し求めて先を競い自分だけのファーストトラックを刻み込む姿はまさに西部開拓期の精神そのもの。ホワイトゴールドとはよく言ったものです。

 

これは立山黒部アルペンルートが開通する前の立山室堂を贅沢に滑り降りるシーン。まさにフロンティアを手に入れた瞬間です。

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一方で山スキーにはリスクがつきもので、その最たるものが雪崩。巻き込まれたら一巻の終わりです。そうならないためにも文字通り「必死」に雪の勉強をします。

居住性としての雪

冬の山中泊の手段は避難小屋、テントなどがありますが、実は雪洞がもっとも快適に過ごせる選択肢です。雪洞とは自然に堆積した雪に穴を掘ったもの、つまり雪の洞穴で、その中で寝泊まりします。雪の中なら寒いのでは?とお思いでしょうか。実はテントや避難小屋に比べて暖かいです。外気はマイナス10度をゆうに下回る気温ですから、避難小屋の断熱効果などたかがしれています。中の気温は外気と同じ気温まで下がってしまいます。とてもそのままでは過ごせないので避難小屋に泊まるときは中でテントを張るのが基本になります。テントも基本的に寒いですが中でガスバーナーをつければすぐに温まるのでそこそこ快適です。なおテントは暴風雪には弱いので張る場所を考えないといけません。さて雪洞はといいますと。雪は非常に優れた断熱材で、外の気温がいくら低くても中の気温はほぼ一定に保たれます。暴風雪も関係ありません。水筒の水を一晩置いておいても凍結することはありません。

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水としての雪

雪山登山では水の心配はほとんどないですね。なんといっても周りの雪がすべて水になるのですから。山行中の飲料水、炊事のための水はすべて雪を溶かして作ります。さらに水としての雪は登山者のみならず、日本国民全員にとって貴重な資源でもあります。5月頃の融雪期は年間でもっとも河川の水量が増える時期ですが、ちょうどその頃から水田に水を引き込みます。それを補って余りある水分を雪は蓄えます。人と自然の営み、都内でサラリーマンとして働くようになって目にする機会が少なくなった光景がここにあります。

道としての雪

雪によって閉ざされる道がある一方で、あらたな道を作ってくれるのもまた雪です。藪が深く無積雪期には歩くことが困難な道も雪が覆い隠して立派な道になります。滝が凍ればそこは登攀路になります。映画「剣岳 点の記」では雪が道をつくりました。さらに、この写真は3月末の黒部湖、「黒部の太陽」でおなじみ黒部ダムによってできた人造湖ですが、水面が凍り雪が積もって渡れるようになっています。夏には絶対に無理ですよねこれは。

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風景としての雪

雪の景色は言葉では語りつくせません。すこしでも触れていただきたいと思い、雪山で撮った写真をアップしてみました。(素人の写真ですいません。。。)マイクロソフトのSwayというサービスを使ってみましたが、いかんせんこのサービスはプレビュー段階ですのでうまく動作しないかもしれません。ご了承ください。