「家庭」を壊しているのはアベノミクスではありません。
一年前の円高でも、今の円安でもありません。
ましてや、西島秀俊と向井理が立て続けに結婚したからでもありません。
間違いなく「ITゼネコン構造」が家庭を壊しています。私の周りの狭い範囲で最近起こっている状況に限っていえば、これは明白です。
この状況の傾向と対策について明らかにしようというのがこの記事です。
申し遅れました。私、HDEの宮本と申します。結婚十三年目、小学生の長女と幼稚園生の長男、二児の父でもあります。どうぞよろしくお願いいたします。
「離婚」あるいは「別居」する社員たち
うちの会社で、「離婚」あるいは「別居」に至る30代働き盛りがポツポツと目につきます。そして彼らは、ITゼネコン構造の犠牲者です。
ITゼネコン構造というのは、建設業界同様の多重下請け構造のことですが、これは説明し始めると長くなるので、知らない方はGoogle先生に聞いてみてください。(→「ITゼネコン構造」)
誤解を招かぬよう明言しておくと、彼らの「離婚」「別居」はうちの会社が原因ではありません。当社は予てよりITゼネコン構造から決別し、パッケージソフトウェアおよびクラウドサービスのメーカーという立ち位置にあります。
「離婚」あるいは「別居」に至っている彼らは、うちの会社に来る前、つまり前職において、ITゼネコン構造の呪縛に絡み取られていました。毎日帰宅は午前様、土日も帰れない。乳飲み子は妻に任せっきり。そんな呪われた生活からようやく逃れてうちの会社に辿り着いたのです。
しかし。
来てくれたうちの何名かについては、時既に遅し。前職での生活がすでに彼らの家庭に致命傷を与えていました。残念ながら間に合わなかったのです。
ITゼネコンと個人情報保護法が増やした残業時間
断言しましょう。ITは、長時間労働を引き起こしやすい。なぜなら、コンピュータは24時間365日動く、という幻想があるから。
そして、「システムは人が寝ている間も動き続けます」というふわっとした約束の元でサービスが提供され、しかし実際には、夜中も下請けのエンジニアがシステムに張り付き続ける、そんな構造が容易に出来上がります。
2004年には、あの有名な「個人情報保護法」がこの状況に拍車をかけました。
個人情報保護法以降、セキュリティ課題のうち特に「機密性」、つまり、「システムにアクセスされにくいこと」が過度に重視される傾向にありました。システムを設計したエンジニアも、その心臓部を動かすコアなコードを書いたプログラマも、往々にしてそのコンピュータを直接操作することが許されなくなりました。
例えばエンジニアやプログラマが問題解決のために、コンピュータの処理記録(ログ)を閲覧しようと思っても一筋縄ではいきません。なぜその情報が必要かを文章に起こし、許可が得られたら運用担当者向けに情報取得の手順を記述し、そして自分ではない誰かに依頼して結果を待つ必要がありました。そして、得られたごく限られた情報から仮説を立て、一文字も間違わずに手順書を作り、そして、顔も見たことがない誰かにそれを実行してもらって問題が解決するかどうかをまた待つのです。
結果、悲しいかな、一文字書き換えればいいだけの問題解決に一ヶ月もの時間がかかり、問題の改善は遅々として進まず、膨大な待ち時間を含む残業時間が膨らむ。
世界のイノベーションは多くの挑戦の上で長足の進歩を遂げているというのに、ITゼネコン構造に支配された日本の情報システムだけがイノベーションに取り残され、そして、そこに従事する彼らの家庭が「道連れ」にされたのです。
「離婚することになりまして...」
社員からそう言われると同じIT業界にいる者として心が痛みます。 たとえうちの会社が原因じゃないとしても。
彼らはつぶやきます。
「あと2年早く、この会社に入っていたら家庭を守れたかもしれません」と。
そう言ってもらえることはありがたいことだけど、それにしても彼らの物悲しそうな目を見るとジンと心が痛むのです。そう! 西島秀俊と向井理の結婚報を聞いた女子たちと同じようにね!
結婚数に対する離婚数の割合は高止まり
マクロのデータも見ておきましょう。厚生労働省の人口動態統計の最新(平成25年)データによると、年間の結婚数は660,613組、対して、離婚数は231,383組。( http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html )
つまり、3組結婚する間に1組離婚する割合となっています。
この人口動態統計の記録を30年ほどさかのぼって眺めると、結婚数に対する離婚数の率は急増→高止まりしているのが分かります。
この「急増→高止まり」の原因は様々考えられます。
男女雇用機会均等が改正され、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇において男女差をつけることが禁止されたのがこのあたり(1999年)なので、おそらく女性の社会進出、経済的独立が進み始めたことが主な要因でしょう。
また、増え始めた時期はWindows95の時期、すなわち日本でパソコンが普及しはじめた頃ですし、「3分の1」を超えて高率をキープしはじめたのは2001年、ちょうどITバブルの時期でもあります。もしかするとITの普及も遠因になっているかもしれません。
いずれにしても、2000年頃から家庭を維持しにくい環境になってきていることは間違いありません。
もう一つグラフを紹介します。
( http://buzzoo.jp/social/article/4138 より)
これは、CM起用数ランキング上位の、「向井理」「阿部寛」「西島秀俊」「福士蒼汰」4名の俳優に関して、2014年8月11日から8月15日までのCM出演中のtwitterつぶやき数をグラフにしたものです。女子達の熱狂ぶりがよく分かると同時に、来るべき「福士蒼汰」結婚報道の日にはどれほどの悲鳴が上がることでしょう。
ちなみにこのグラフですが、私の今日のこの記事とは何の関係もありません。ちょっと載せてみたくなっただけです。
家庭を守る方法その1
話を元に戻しましょう。
私のまわりに居る、特にIT業界の方々のために、家庭を守る方法を二つ上げておきます。
一つは、早い段階でうちの会社に転職することです。
当社はクラウドサービスをビジネスの主軸に置くことで、ITゼネコンとは根本的に違う仕事の仕方ができています。その他にも「在宅勤務が云々」とか、「リフレッシュルームが云々」とか、色々理由はあります。
ただ、これらについてクドクドと説明することは避けます。手前味噌すぎだから。
うちに転職してきた人たちの「あと2年早く、この会社に入っていたら家庭を守れたかもしれません」という言葉を再度紹介するに留めておきます。
家庭を守る方法その2・・・変化をプロデュースしよう
もう一つ。
これは、IT業界以外にも通用するアドバイスです。
一般に、夫婦であれ、彼氏彼女の付き合いであれ、「三」が付く時期は危ないと言われます。
三日、三週間、三ヶ月、三年。
特に三年は一つの節目です。
1982年のヒット曲に、「三年目の浮気」という歌がありました。ヒロシ&キーボーです。懐かしいですね。それから「石の上にも三年」ということわざを小学生の頃から刷り込まれています。就職活動をする頃には「就職したら三年は我慢しろ」と言われます。
逆に言えば、三年経過すると、我慢ができなくなったりマンネリ化してくるということです。
夫婦関係も然り。マンネリ化。飽きてくることがあります。
この時、「何に」耐えられなくなっているのか?
思うに、
「結婚相手に耐えられなくなっている」
のではありません。
では何に耐えられなくなっているか?
それは、
「自分の役割。」
三年経って「家庭における自分の役割に我慢ならなくなっている」のです。
昔、我々の親の世代の頃は社会の仕組みがよく出来ていました。結婚し夫婦になり、数年したら子どもが出来てパパママになりました。家を買ったり、二人目が出来たり、一定の年数が経過すれば昇進があり、と、自分の役割に飽きないような仕組みがそこそこできていました。
しかし今は、もっと自由です。
結婚せずに子どもが出来るまで待って、妊娠と同時に結婚することもできます。 自由なのは、ある意味とても良いことです。人生のステップをクリエイティブに編むことに対して私は否定的ではりません。
ただ、編み方によっては「役割が変わるチャンス」が一回減っている可能性があります。
変化のタイミングが減ったかもしれない人は、それが致命的にならないよう、「役割が変わるための仕掛け」をしていくのが良いでしょう。自分自身で変化をプロデュースしていく意識を持つということです。
具体例を挙げましょう。
たとえば、遠距離恋愛中の人は、結婚するからといってすぐに仕事をやめて一緒に暮らし始める必要はありません。まずは、遠距離のまま籍をいれ、それから数年経ってから同居へと進めばいいのです。恋人同士から遠距離結婚へ、遠距離結婚から同居へと、変化の回数を一回余分に手にすることができます。
結婚前に同棲してみる、というのもいいでしょう。一人暮らしから同居へ、同居から結婚生活へ、という変化がつけられます。
また、ありきたりではありますが、子どもを持つことも変化にプラスの効果があります。子は鎹(かすがい)という言葉。これは、二人で協力しなければならない理由が増えるとか、子どもが可愛くて惹きつけられるとか、そういった意味合いですが、それだけではありません。子どもはどんどん大きくなり、親は、最初は完全なる保護者を、歩き始めればガードマンを、授業が難しくなれば先生を、そして時にはライバルを演じなければなりません。進学、受験、就職まで、親は色んな役割を要求されます。この要求の変化こそが、夫婦それぞれの役割を変化させます。そして結果、家庭の形を飽きずに継続させる「かすがい」となります。
あるいは場合によっては、二、三年程、「二次元キャラ」や「イケメン男優」の追っかけとして害の無い範囲で入れあげる、というのも有りかもしれません。
繰り返します。
こういった、役割の変化を数年毎に意識的に仕込んでいくこと、これが二つ目の、家庭を守る方法です。
これから結婚をしようという人に伝えよう
「結婚」からもう少し視野を広げて、「人生」を見た時にはまた違う景色が見えることもあるでしょう。
もしかすると、「離婚」も含めて、「パートナーを別の人に変える」ことで自分に変化をもたらすという考え方に至ることもあるかもしれません。時には孤独になり、時には新しい相手を迎えるのは、退屈せずに人生を送る方法の一つなのかもしれません。
とはいえ、
結婚生活十三年目を迎えて自分はこう思います。
長年連れ添う相手がいて、
その相手とお互いに数年おきに役割を変えながら生きていく、
そして役割が変わる不安や面白さを語り合う相手が居る、
そうすると、
何年も前に自分がぶつかった問題に配偶者がぶつかっていたり、
何年も前に自分が出会った喜びと同じ喜びを配偶者が味わったり
自分がやりかけで挫折したことを配偶者が乗り越えて実現したり、
まるで
よく出来た小説のように、伏線が回収されていくのです。
そういう生き方は中々に快感であり感動的なものです。
だから、これから結婚をしようという人に伝えたい。是非、「数年おきに二人がどのように役割を変えていくか」予め妄想してください。そして、パートナーとも役割の変化について語り合いながら、結婚に臨んで欲しいと思います。
最後に
IT業界にいて家庭の危機を感じている方、うちの会社で一緒に働きましょう。
採用ページはこちら→ http://www.hde.co.jp/recruiting/